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創立者の気持ちに共感した瞬間
最近、私は本学園の創立者・高木君(たかぎ きみ)先生が「きっとここで感動したんだろうな」ということを深く感じたことがあります。
それは、君先生が女性のための学校を創ろうというきっかけになった福澤諭吉先生(慶應義塾の創立者)の精神をまとめた『修身要領』の存在、そしてそこに書かれていた内容を知る機会を得たためです。
福澤先生の考えを29条にまとめた『修身要領』のエッセンスが「独立自尊」という言葉として一般的に知られていますが、この『修身要領』にはより詳しく
ー 個人の道徳
ー 男女の道徳
ー 社会生活の道徳
ー 国民としての道徳
ー 独立自尊主義の普及
についての考えがまとめられています。
特に、私が感動し、また君先生もきっとこの部分に大いに刺激されたのだろうと共感した部分は、福澤先生が女性の立場について書かれた部分でした。
第8条 男尊女卑は野蛮の陋習(ろうしゅう)なり。文明の男女は同等同位、互いに相敬愛して各その独立自尊を全空しむ可し
(男尊女卑というのは野蛮な悪い習慣である。文明の進んだ、進歩的な男女は、全く同等であり、お互いに尊敬しあって独立して人格・気品を保つこと)
福澤先生はなんと、明治33年(1900年)に、このようなことをまとめて世に訴えていたのです。まるでSDGsでのジェンダー平等の精神を、すでに1900年には提唱していたことになります。
今の世の中では「当然そうあるべき」と感じられる内容ですが、明治時代の非常に封建的な社会でこのようなことを主張された福澤先生のお話を聞いた君先生はどのように感じたでしょうか。「こんな社会を作りたい!」と心から感激したに違いないのです。そして、そのような福澤先生の思想に触れたことが、1908年の本校創立につながっていくのだと、改めて君先生の当時の気持ちに共感できた気がしました。
私自身、慶應義塾を卒業してから20年以上もの時が過ぎて初めて、この『修身要領』の存在を知ることになり、それが改めて本学園の創立者(であり、私の曽祖母)の考えを深く理解することに繋がったことを、とても幸せなことだと感じています。