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理事長・校長日記理事長・校長日記iグローバル部

Affirmative Action(格差の是正措置)は必要? ~Stanford e-Eiri~

iグローバル部2年生が毎年取り組んでいるStanford e-Eiri(スタンフォード大学と本校をオンラインでつなぎ、世界の課題について生徒が先生役になって英語での授業を担当する講座)が、今日から本格的にスタートしました。(前回はイントロダクションで、講師からの説明を聞く回でしたので、具体的なテーマについて学ぶのは今回からになりました。)

今回のテーマは”Human Rights” →その中でも、”Affirmative Action”(格差是正についての取組)についてでした。この問題を考えるにあたって、今回の授業を担当した生徒たちは

  • 社会で女性は優遇されるべきか
  • (そこからより具体的に)日本で理数系の大学・学部に女性枠が設けられることになったが、これは機会の平等なのか/差別なのか

というテーマについての授業が行われました。

高校2年生で実際に「大学入試」を意識し始めている生徒たちにとって、大学の入試に「女性枠」があるということについては、自分事として考えられるとても良いケーススタディになりました。

私などは、世代的にも

「女性は男性に比べると、社会の様々な場面で平等な機会を得ていないことが多い。それは是正すべきだから、Affirmative Actionは大切だ」

と自動的に考えるようになってしまっていますが、高校生世代だと受け止め方はかなり異なるようです。

今回授業を担当した生徒たちがクラスのメンバーにアンケートを行ったところ

(理数系の大学・学部に女性枠を作るという)Affirmative Actionが必要だと思う人: 44%

そのようなAffirmative Actionは不要だと思う人: 56%

で、むしろ不要と考える比率のほうが大きかったようです。生徒たちに話を聞いたところ、数人が、

「私たちは学校に入ってから、常に”男女は平等であるし、その前提での発言を行う”ことが当たり前の環境で育ってきた。だからこそ、特別な措置が必要とは思えない。」

と語っており、やはりどのような時代に育ってきたかによって、感覚はかなり大きく違うなということを実感しました。

今回、生徒たちの授業の組み立て方が非常に良かったことに加え、私が感心したのは、生徒たちが授業(しかもオンラインのZoomを使っての授業です)に、積極的にICTを活用していて、クラスにすぐアンケートをとって、その場で結果を画面上に示したり、二つの対立する意見を同じ画面上に表記させて他の生徒に考えさせる、というような大人顔負けのICT活用授業を行っていたことです。

生徒たちの工夫と熱意が随所に見られた、とても良い授業でした。

次回は他の生徒たちが授業を担当します。次回のテーマは「AIが生成するアートは本物の芸術といえるか?」・・・タイムリーですが難易度の高いテーマです。どのような授業になるか、楽しみです。